日本内科学会雑誌
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代謝面よりみた肝性昏睡の治療
鈴木 隆
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1959 年 48 巻 2 号 p. 173-189

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抄録

著者は肝炎, 肝硬変患者に対しアミノ酸混合溶液, および, 蛋白質水解溶液を静脈内投与し, 又クエン酸, チオクト酸, γ-アミノβ-ハイドロオキシ酪酸, α-ケトグルタール酸を単独, あるいは混合アミノ酸と併用した. (1) 混合アミノ酸溶液投与後肝硬変においては動脈, および, 静脈血中アンモニア濃度の上昇が著明であつた. 混合アミノ酸, あるいは, 蛋白質水解溶液投与によるアンモニア増量は, 両者の間に差異を認めなかつた. (2) 肝炎, および, 肝硬変例においてクエン酸, チオクト酸, α-ケトグルタミン酸, γ-アミノβ-ハイドロオキシ酪酸などの投与により血中アンモニア濃度は減少した. これら物質と混合アミノ酸溶液を併用すると血中アンモニア濃度の上昇はいちじるしくなかつた. (3) アンモニア減少作用は次の順序で著明であつた. クエン酸, チオクト酸, γ-アミノβ-ハイドロオキシ酪酸, α-ケトグルタミン酸. (4) 四塩化炭素による肝機能障害犬, および, 門脈副行枝形成犬において同様の結果がえられ, 上記物質投与後の血中アンモニア減少は肝機能障害犬においていちじるしかつた.

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