日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
IgG高低選抜系統ヒナの血清蛋白質に及ぼす無菌化の影響
等電点電気泳動法による解析
佐藤 孝二後藤 彰久永井 弘光甲斐 藏
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1992 年 29 巻 6 号 p. 389-394

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抄録

白色プリマスロック種のIgG高低選抜系統のヒナを無菌飼育し,得られた血清をディスク式の等電点電気泳動法(IEF)により解析した。また,ゲル濾過により血清を3つに分画し,各分画のIEF図における位置を調べた。
1.両系統とも無菌ヒナでは通常飼育のヒナよりも,IEF図に示される4つの領域の蛋白質濃度が低下した。
2.IgMが含まれる第I分画(ゲル濾過)は,1つのピークと2つのバンドから成り,量的にはpI4.1~4.6のバンドが最も多かった。IgGの含まれる第II分画は,4つのバンドから成るpI4.6~5.4の領域の蛋白質が量的に最も多く,次にpI5.5~6.0の領域であった。第III分画からは約20のピークやバンドが分離された。
3.無菌飼育により免疫グロブリン,特にpI4.6~5.4,5.6~6.2,6.3~6.5,6.6~7.8の領域のIgG濃度が著しく減少した。IgMはあまり変動しなかった。
4.免疫グロブリンを分子量とpI値に基づいて分類し,そのうち,IgG産生に関するファブリシウス嚢の内因的な寄与と腸内細菌叢を含めた外因的な寄与とについて一つの考え方をまとあた。

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