薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
ヒト尿由来Kallidinogenase(SK-827)の体内動態に関する研究(1)ラット単回投与(急速あるいは持続静脈内投与)時の血中濃度推移および排泄,ラット反復投与(急速静脈内投与)時の蓄積性
見藤 泰臣中山 幸晴古田 禎之井上 恒昭黒野 昌庸馬場 茂
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1994 年 9 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

125I-SK-827をラットに単回投与(急速静脈内投与および持続静脈内投与)あるいは反復投与(急速静脈内投与)したときの血中濃度推移,また尿および糞中排泄について確認した.
1.125I-SK-827を単回急速静脈内投与(1.67×10-3~15×10-3PNAU/kg)した後の血漿中TCA不溶性画分の放射能濃度は速やかに減衰した.15×10-3PNAU/kg投与群において,血漿中TCA不溶性画分の放射能濃度は投与後2~15分,15~60分および60~240分において,それぞれ4分,23分,131分の半減期で減衰した.
2.125I-SK-827を単回持続静脈内投与(1.67×10-3~15×10-3PNAU/kg)したときの血漿中TCA不溶性画分の放射能濃度は投与開始後より速やかに上昇し,投与開始後29分に最高値を示した.また持続投与終了後は,急速静脈内投与と同様,速やかに減衰した.投与開始後29分の血漿中TCA不溶性画分の放射能濃度(C29 min)およびAUC0-60 minは投与量に比例して上昇あるいは増加した.このことから125I-SK-827の血漿中動態は,投与量1.67×10-3~15×10-3PNAU/kgの範囲で線形性を示すことが明らかとなった.
3.125I-SK-827を単回で急速および持続静脈内投与(5×10-3PNAU/kg)したときの尿および糞中への放射能の排泄率は,投与後120時間までにほぼ100%であり,そのうちの約90%が,投与後24時間までに尿中に排泄された.
4.24時間間隔で7回125I-SK-827を反復急速静脈内投与(5×10-3PNAU/kg)したときの毎回投与後1時間の血漿中TCA不溶性画分の放射能濃度には投与回数による変化は認められなかった.また,4回目および7回目投与後のTCA不溶性画分の放射能濃度推移より求めた速度論的パラメーターは,反復投与期間中,単回投与時と比較し変化しなかった.また,投与期間中,尿および糞中への放射能の排泄率は一定であり,最終投与後120時間までに,累積投与放射能の99%が排泄された.

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