薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Mometasonefuroate(M:F)の生体内動態に関する研究(第2報):ラットおよびウサギにおける皮下投与時の吸収,分布,排泄
菅野 浩一溝尻 顕爾江角 凱夫高市 松夫三宅 隆行関 英昌
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1990 年 5 巻 6 号 p. 795-817

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抄録

ラット,ウサギに14C-MFを単回あるいは反復皮下投与後の体内動態について検討した.
1.ラットに0.5あるいは1mg/kg単回投与後の血漿中放射能濃度のCmax,Tmaxは投与量によって変わらなかったが(雄性Cmax26~30ng equiv./ml,Tmax約2時間,雌性Cmax31~32ng equiv./ml,Tmax3~4時間),t1/2,AUCは投与量に応じて変化した値を示した(雄性t1/213および25時間,雌性t1/29および24時間).ウサギに同量投与後のCmaxは11ng equiv./mlとラットより低く,t1/2も91時間と大きかった.ラットにおける血液中放射能濃度は消失が遅く,48時間以降は血漿濃度より高かった.
2.14GMFのラット,ウサギ,ヒト血漿中in vitro蛋白結合率は,いずれも99%以上であり,ラット,ウサギにおける0.5mg/kg投与後のin vivo蛋白結合率は94%以上であった.
3.14C-MFのin vitro血球移行率は,ラット0%,ウサギ30%,ヒト4~7%であった.
4.組織内分布では,肝臓中に最も高濃度の放射能を認めた.腎臓,消化管組織脂肪などにも高濃度を認め,その他の中枢神経系,眼球を除いた大部分の組織にも中程度の濃度が分布されていた.これらは血漿中濃度の消失とほぼ同速度で消失し,168時間後には血液,肝臓腎臓以外はすべて検出限界以下に減少した.
5.ラットに0.5mg/kg単回投与後,雌雄とも90%以上の放射能が糞中に排泄され,胆汁排泄も同量認められた.ウサギでの排泄率は糞中46%,尿中23%であった.ラット,ウサギともに胆汁排泄が主排泄経路であった.ラットにおける胆汁からの再吸収率は投与量の20%であった.
6.ラットに0.5mg/kg,1日1回,16回反復投与後24時間の血液中放射能濃度は,1回投与時の約10倍に上昇し,16回投与(最終回投与)後の消失もきわめて遅くなった.脾臓中濃度の消失も遅かった.血漿およびその他の大部分の臓器・組織中放射能濃度は,4あるいは8回投与後ほぼ定常濃度に達し,16回投与後の消失も血液,脾臓よりは速かった.
7.反復投与後の血球中放射能の細胞内分布で,放射能は細胞膜には存在せず,すべて細胞内に移行し,脂質,蛋白質分画に局在することを確認した.肝臓の場合も蛋白質分画の濃度が高かった.
8.反復投与における排泄は単回投与と変わらず,最終的には糞中に93%,尿中に3.5%が排泄された.

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