薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
合成ムラミルジペプチド誘導体MDP-Lys(L18)のマウスにおける代謝
松林 久一竹越 敏夫
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1987 年 2 巻 5 号 p. 547-561

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抄録

1)14C-MDP-Lys(L18)をマウスに皮下投与したところ,投与後24時間の尿中に投与した放射能の約20%が排泄され,その約80%が乳酸であった.この乳酸の立体配置はR-配置であり,乳酸部分の2位の不斉炭素上の立体配置は代謝の過程で変化しなかった.
2)放射能の分布率の最も高い肝臓における代謝物は,投与後5時間では約40%がMurNAcであり,主代謝物であった.この他に未変化体,乳酸,Des(GlcNAc)-MDP-Lys(L18)が存在した.活性部分構造体であるMDP-Lysは肝臓中代謝物として存在しなかった.
3)主代謝経路として未変化体から順次MurNAc,乳酸,二酸化炭素となる経路が推定された.この他に糖の3位のエーテル結合の加水分解により,Des(GlcNAc)-MDP-Lys(Ll8)を経て乳酸,二酸化炭素となる経路も推定された.

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