分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ジ-(o-ジフェニル)チオカルバゾンについて
ジチゾン誘導体の合成とその分析化学的研究(第6報)
武井 信典
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1960 年 9 巻 5 号 p. 409-415

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抄録

題紀試薬の四塩化炭素溶液を用い,その基礎的性質を検討した.本試薬の四塩化炭素溶液からの水層への抽出にはアンモニア水では不十分で,水酸化ナトリウム水溶液を用いる必要がある.試薬および金属錯塩溶液の極大吸収波長はジチゾンの場合に比し長波長側にあるが,ジ-(p-ジフェニル)チオカルバゾンの場合より短波長側にある.本試薬の金属イオンとの反応性はジチゾンに比し低下し,pH8までの測定範囲内で定量的に抽出され得るのはAg+,Hg2+,Cu2+,Cd2+のみで,Za3+,Pb2+,Bi3+は定量的には抽出されない.ついで,可視部最大吸収波長における分子吸光係数を測定し次の値を得た。試薬溶液:33.9×103.Ag+錯塩溶液:25.1×103.Hg2+錯塩溶液:57.2×103.Cu2+錯塩溶液:48.6×103.Cd2+錯塩溶液:75.0×103.さらにHg2+錯塩,Cu2+錯塩の抽出係数(logK)を測定し,Hg2+錯塩:25.13,Cu2+錯塩:9.91を得た.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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