分析化学
Print ISSN : 0525-1931
リンバナドモリブデン酸法による鉄鋼中リンの吸光光度定量におよぼす温度の影響
北川 公柴田 則夫
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1958 年 7 巻 12 号 p. 788-789

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抄録

リン酸塩にモリブデン酸塩およびバナジン酸塩を作用させて生成する黄色のリンバナドモリブデン酸を比色することにより, リンを定量する方法は, 古くはG.Missonによって研究され, そののち, U.T.Hill, R.E.Kiston, M.G.Mellon, T.S.Harrison, W.Fisherらにより鉄鋼中のリン定量に応用され, 最近ではH.C.Baghurst, V.T.Normanらは温度の影響について研究している.
上述の諸研究によるとリンバナドモリブデン酸比色法は温度の影響を受けやすく, 前記H.C.Baghurst, V.T.Normanらは過塩素酸酸化法が最も温度の影響をうけやすいとしており, さらに, 硫酸アンモニウムの添加が, その影響を除去するのにいちじるしく効果があることを見出し, 過硫酸アンモニウムないしは過マンガン酸カリウム酸化法にこれを応用し温度の影響を除いている.しかし, 著者らは, 過塩素酸酸化法が試料の分解に便利で酸濃度の調整が容易であり, 分析の迅速さなどの点でまさっているので過塩素酸酸化リンバナドモリブデン酸法により, リンを定量せんとしその温度の影響について検討した.なお過塩素酸酸化リンバナドモリブデン酸法は学振に採用せられている方法によった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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