分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
電子線マイクロアナライザーによる硬化モルタル中のセメントの化学組成の推定
沢木 大介小林 久美子坂井 悦郎
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2010 年 59 巻 4 号 p. 311-318

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抄録

硬化モルタル中のセメントの化学組成を,電子線マイクロアナライザーによるマッピング分析で推定する方法を検討した.化学組成が既知の普通セメントを用い,JIS R 5201「セメントの物理試験方法」にしたがい調製したモルタルの,400 μm×400 μmの領域について,セメントの主要9元素のマッピング分析を実施した.分析した16万個のピクセルのそれぞれについて,各元素の定量分析値(酸化物形態)を,元素間の相対比率を保ったまま,総和が97% となるように換算した.個々のピクセルについて求めた換算組成を平均し,セメントの推定組成とした.すべてのピクセルの組成を平均することにより得られた組成は,骨材(ケイ砂)の存在により,セメントよりも著しく高SiO2となり,骨材に相当するピクセルの除外が重要であることが明らかとなった.SiO2又はCaOの含有量の相違に基づき,セメントと骨材に相当するピクセルを選別し,骨材のピクセルを除外して平均を求めることにより,実測組成に近い推定結果を得ることができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2010
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