分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
硫化亜鉛(II)吸着濃縮/加熱気化原子吸光分析による雨水中溶存水銀(II)の定量
加賀谷 重浩北森 一範遠田 浩司
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2007 年 56 巻 12 号 p. 1127-1131

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抄録

降水中溶存水銀(II)の簡便な濃縮法を開発することを目的とし,金属硫化物吸着濃縮法について検討した.試薬として市販されている数種の金属硫化物の水銀(II)捕集能を評価したところ,硫化亜鉛(II)が最も優れており,その捕集能は磁性乳鉢で粉砕することにより向上した.この粉砕硫化亜鉛(II)100 mgを直径47 mmのメンブレンフィルター上に積層させ,降水試料500 mLを流量10 mL min−1以下で通過させることにより,溶存水銀(II)を定量的に捕集可能であった.捕集された水銀は,フィルターごと硫化亜鉛(II)を加熱気化原子吸光分析に供することにより,容易に定量可能であった.本法の検出限界は0.9 ng L−1(3σ,n=6)であり,本法は降水中溶存水銀(II)の定量に応用可能であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2007
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