分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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微生物学的試験法による畜産物中に残留する抗菌性物質の高感度測定法
堀江 正一小林 晴美石井 里枝中澤 裕之
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2007 年 56 巻 12 号 p. 1097-1103

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抄録

畜産食品中に残留するペニシリン系抗生物質(PCs),セファロスポリン系抗生物質(CEs),テトラサイクリン系抗生物質(TCs),マクロライド系抗生物質(MLs),アミノグリコシド系抗生物質(AGs),キノロン系抗菌剤(QNs)などを中心とした,より多くの抗菌性物質を一括して検出できる微生物学的試験法を検討した.畜産食品から0.5% メタリン酸-メタノール-アセトニトリル(6 : 2 : 2)で除タンパクと同時に薬物を抽出し,ポリマー系逆相カートリッジOasis HLBを用いてクリーンアップする前処理法を構築した.各グループから代表的薬剤を選び,残留基準値レベルで添加回収実験を行った結果,明瞭な阻止円が観測され,回収率はおおむね70% 以上であった.本法は,動物用医薬品として汎用され,畜産食品中に残留する可能性の高いPCs,CEs,MLs,TCs,AGs,QNsを簡易かつ高感度に検出することが可能であり,抗菌性物質の残留の有無を簡便に判定できる有効な方法であると思われる.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2007
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