分析化学
Print ISSN : 0525-1931
酸化コバルト(III)を用いる捕集濃縮/タングステン炉原子吸光法による環境試料中の微量鉛及びビスマスの定量
成川 知弘吉村 坦鵜澤 惇
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1998 年 47 巻 10 号 p. 707-713

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抄録

酸化コバルト(III)粉末を吸着捕集剤として利用する,微量鉛及びビスマスのタングステン炉原子吸光分析について検討した.吸着捕集剤である酸化コバルト(III)は,溶液のpH変化において溶解することなく,pH1.0~11.0の範囲で優れた吸着能を示した.又,鉛及びビスマスのタングステン炉原子吸光法において化学修飾剤としての効果もある.従って,酸化コバルト(III)は,マトリックス成分から鉛及びビスマスを分離する際の吸着捕集剤,及び定量時の化学修飾剤の両者において優れた性質を有していることを見いだした.吸着捕集におけるpHを3.0とし,本法を標準岩石試料及び池底質に適用した結果,岩石試料及び池底質における鉛及びビスマスの定量値は参照値又は保証値と良く一致する結果であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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