1996 年 45 巻 11 号 p. 987-991
2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸(NANA)のラジカル分解反応による接触分析法を利用して,水道水中のマンガン(II)の分析を試みた.本法は,不純物金属イオンとして含まれる鉄(III)や銅(II)が正の妨害を示す.これらの妨害を取り除くためにマスキング剤の検討を行ったところ,トリエタノールアミンがマスキング剤として有効であった.マスキング剤の使用により銅(II)はマンガン(II)の125倍まで許容できるようになり,鉄(III)は100倍まで妨害しなかった.検出限界は0.06ppbであり,0.1~1.0ppbの範囲で定量可能であった.本法を水道水中のマンガン(II)の分析に適用したところ,黒鉛炉原子吸光法の結果とほぼ同様の結果が得られた.