1994 年 43 巻 1 号 p. 85-88
分解ガソリン中のヒ素は芳香族製品を製造する装置の触媒毒となるため,その濃度管理は極めて重要である.酸水素フレーム燃焼分解法と還元気化原子吸光法を組み合わせた高感度定量法について検討した.試料を酸水素フレーム中に導入して燃焼分解し,有機ヒ素をすべて無機ヒ素に変換した後,これを吸収液に捕集した.吸収液中のヒ素のアルシンへの還元はテトラヒドロホウ酸ナトリウムを用い,発生したガスを空気-アセチレンフレームで加熱した石英セルにアルゴンガスで導き,ヒ素の原子吸光を測定した.実試料での定量下限は5ngg-1を達成できた.本法を芳香族製品を製造する装置の各留分のヒ素の分析に適用した.