1987 年 36 巻 2 号 p. 88-92
生成したトリメチルフルオロシラン(TMFS)を冷却したカラム中に捕集濃縮し,これを水素フレームイオン化検出器付きGCで測定して試料水中のppbレベルのフッ化物の定量を行った.反応容器(100cm3)中に試料溶液50cm3,塩酸22cm3,トリメチルクロロシラン飽和塩酸溶液3cm3を加え,次に窒素を流量50cm3 min-1で流して生成したTMFSを溶液から分離し,ドライアイスとアセトンで冷却したカラム(充てん剤:2%OV-3シリコン/ユニポートHP)に捕集して濃縮する.TMFSの全量を,市販GC装置の流路を改修した注入装置でカラムに瞬時に注入し,測定する.本法の定量範囲は0.3ppb以上で,10ppb標準溶液の測定結果は,確率水準95%で10.0±0.18ppbであった.天然試料中に存在するほとんどのイオンは妨害しなかった.