分析化学
Print ISSN : 0525-1931
低温灰化処理の光センサーによるモニタリング
穂積 啓一郎北村 桂介木村 誠
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1985 年 34 巻 6 号 p. 355-360

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抄録

有機試料の酸素プラズマによる低温灰化処理では,チャンバー内に生成する燃焼気体が高周波エネルギーを吸収して励起し,発光スペクトルを放射する.このスペクトルは可視部に豊富で,酸素自身の放射する低レベルのバックグラウンドを基準にすると,硫化カドミウム光電導セルの出力として灰化の進行状況をモニターすることができる.セルロースパウダーの灰化実験では試料量10~200mgの範囲でいずれも出力の急激な消失による明確な終点が与えられた.スペクトル強度の終点までの積分量と試料量とは良い比例関係を示したが,高周波電力が変わるとスペクトルパターンが変化し,比例係数はかなり変化した.灰化時間と試料量の比例関係のほうがプラズマ条件の変化の影響を受けにくい.茶葉,食品などの灰化のモニタリングにも高感度に適用できることが分かった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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