分析化学
Print ISSN : 0525-1931
イオンクロマトグラフ用電位差検出器による陰イオンの定量
鈴木 孝治有賀 広志石和田 仁志大嶋 豊子井上 秀成白井 恒雄
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1983 年 32 巻 10 号 p. 585-590

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抄録

銀-ハロゲン化銀の固体膜電極とトリオクチルメチルアンモニウムイオンを感応物質としたエポキシ樹脂混合膜電極の2種類のイオン選択性電極に基づくイオンクロマトグラフ用電位差検出器を試作した.前者の電極に基づく検出器では,ハロゲン,擬ハロゲン化物イオンの選択的な高感度定量ができる.そのうち,銀-塩化銀電極を用いた検出器では,酢酸-酢酸ナトリウム(2×10-3M,pH6.4)を溶離液としたイオンクロマトグラフィーにより,塩化物イオン,臭化物イオン,ヨウ化物イオン,チオシアン酸イオン,シアン化物イオン及び硫化物イオンの定量が可能である.一方,後者の電極に基づく検出器は,多くの一価無機陰イオンの定量に用いることができるが,亜硝酸イオン,硝酸イオン,過塩素酸イオン,ヨウ化物イオン,チオシアン酸イオンに感度が大きい.又,水酸化ナトリウム(5×10-3M)を溶離液とし,除去カラムを併用したダブルカラム方式のイオンクロマトグラフではこれらのイオンの検出感度を更に増大させることができる。

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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