1978 年 27 巻 4 号 p. 241-244
試料の希釈及び分離操作を伴わない強リン酸の簡易迅速組成分析法として,試料の少量をそのままキャピラリー中に採取し,レーザーラマンスペクトルを測定することによって分析する新しい方法について検討した.
五酸化リン約(72~78)wt%の強リン酸試料は(100~1500)cm-1範囲に4~6の主なピークを有するラマンスベクトルを示した.それらのピークのうち490cm-1付近のピークを内部標準とすれば,910cm-1,730cm-1,及び1120cm-1付近のピークのラマン強度はそれぞれオルトリン酸,ピロ以上の縮合リン酸,及びトリポリ以上の縮合リン酸濃度に比例した.又,1010cm-1付近のピークのラマン強度は五酸化リンwt%との間に直線関係が認められた.