分析化学
Print ISSN : 0525-1931
有害性重金属水銀(II),銅(II),鉛(II),カドミウム(II),ビスマス(III)の電気泳動による迅速分離ならびに定量
多そう式電気泳動法による研究(第3報)
森 五彦本橋 範子
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1973 年 22 巻 4 号 p. 415-420

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抄録

電解液として0.1Mクエン酸ナトリウム,0.1M乳酸,0.1Mα-ヒドロキシイソ酪酸(α-HIBA)を用い,Hg2+,Pb2+,Bi3+,Cu2+,Cd2+(第2族銅族)の移動度のpHによる変化をセルロースアセテート2×11cmを支持体とし,多そう式小型電気泳動そうを用い,電圧300V/11cm,泳動時間5分で検討した.5種の金属イオンの分離にはα-HIBA(pH2.5)が最も適当であった.
また,α-HIBAの濃度0.2~1.0Mにおいて分離状態を検討した結果,0.4Mのとき最適分離状態を示した.定量するには,セルロースアセテートに比較して純度が高く吸着の少ないセロゲル2.5×15cmを用いた。電圧800V/15cm,泳動時間10分で泳動したのち,0.01w/v%ジチゾン四塩化炭素溶液およびアンモエア蒸気で発色させ,おのおの金属部分を切り取り,ジチゾンまたはDDTC(銅のみ)で抽出し比色定量を行なった.定量限界濃度はビスマス0.5μg,カドミウムと水銀1.0μg,鉛と銅1.5μgであった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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