分析化学
Print ISSN : 0525-1931
低温酸素プラズマによる有機物の燃焼速度パラメーター
穂積 啓一郎松本 守
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1972 年 21 巻 2 号 p. 206-214

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抄録

高周波電力最大30W程度の小規模の低温プラズマ灰化装置において,有機物の燃焼速度を決める各種パラメーターの相関関係を検討した.高周波電力のガスへのインプット能率は50%程度であり,これから電力30Wのときのプラズマ内電子温度は15eVを中心に分布するものと推定した.電子温度は(電界強度)/(圧力)の関数として表わされるが,有機物の燃焼速度との関係においては,圧力1~2mmHgの範囲で直線に近い関係が得られる.プラズマ管内の圧力を1mmHgとし,酸素の供給量を増加すると,20ml/minまでは燃焼速度は上昇するが,これ以上では一定となる.プラズマ管内の軸方向における燃焼速度の分布は,高周波コイルを中心にほぼ対称のパターンを示し,電界内で生成したプラズマ粒子の消滅はかなり速いことがわかった.またプラズマガスとしてアルゴンを用いても試料の減量が起こることから,強い電界内では電子衝撃によるフラグメント化も存在することを示した.最後に有機物の化学構造と燃焼速度の関係を検討した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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