分析化学
Print ISSN : 0525-1931
毛管ガスクロマトグラフィーによるC5~C8飽和炭化水素の分離,ならびに保持指標に関する考察
混合固定相によるガスクロマトグラフィーに関する研究(第15報)
三戸岡 憑之
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1972 年 21 巻 11 号 p. 1447-1456

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抄録

混合固定相法ガスクロマトグラフィーによる石油ナフサ留分中のC5~C8飽和炭化水素68成分の分離を目的に,スクアラン(SQ),マレイン酸ジブチル(DBM),ジプロピレングリコール(DPG),およびSQ/DBM混合液を塗布した毛管カラムにおける各成分の保持挙動を調べた.その結果,SQ/DBM混合系において各成分の保持指標と混合組成の間に直線関係のなりたつことが確認された.そしてこの関係を各成分について示した図からSQ 0.05/DBM 0.95においてほとんどの成分を分離しうることが予測されたので,実際にこの組成のカラムを調製して分析に用いたところ,53成分を分離できることがわかった.
また,飽和炭化水素の保持指標の実測値と理想値(蒸気圧指標)との差ΔIn-パラフィンを基準にした各成分の分子容比に反比例することが明らかになり,ΔIが分子の大きさに基づいた溶質保持に対するエントロピー効果によって決まることが考察された.この関係を利用して任意成分の保持指標を推定してみたところ,推定値と実測値との差の標準偏差は2~5保持指標単位であって,推定値と実測値がよく一致することがわかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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