分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ジチオールによるモリブデン光度定量法の改良
田中 克高木 信幸
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1970 年 19 巻 6 号 p. 790-794

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抄録

試料のうすい塩酸,硫酸または過塩素酸溶液に少量のアスコルビン酸およびチオ尿素を加えて溶かし,濃塩酸20mlを加え,水で液量を約50mlとする.冷却後,1%亜鉛ジチオール溶液2mlを加えて混合し10分間放置する.このとき生成したモリブデン錯体を20mlの四塩化炭素に抽出し,その吸光度を四塩化炭素を対比させて670mμで測定する.
この方法によると,鉄(III)0.1g,ビスマス,テルル(VI)のそれぞれ10mg,また1mgの銅(II),銀,水銀(II),スズ(IV),ヒ素(III,V),アンチモン(III,V),ゲルマニウム,金,白金,パラジウムの単独共存は許容される.10mgのタングステンによる影響は塩酸濃度を1.2~2.4Nとし,クエン酸10gを添加すれば避けられる.この方法の実用性を鉄鋼,硫化鉱物中のモリブデンの定量で実証した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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