1966 年 15 巻 12 号 p. 1320-1327
水素核の中性子に対する大きな減速作用を利用して,有機溶媒中の水素の迅速非破壊定量法を検討した。アメリシウム-ベリリウム中性子源からの速中性子を試料に照射し,生成する熱中性子をフッ化ホウ素計数管で計数すると,その計数率の対数と水素含量の間には,各種有機溶媒の水素含量範囲60~120mg/mlでは,試料量を50mlにしたとき,よい直線関係が成立することがわかった.相対誤差は1.3%以下であった.測定配置としては浸せき法が有利であり,また熱中性子反射材としての黒鉛ブロックの使用は,計数効率の増加に有効であることを確かめた.また炭素,酸素などの共存元素による影響は,特に認められなかった.