分析化学
Print ISSN : 0525-1931
赤外分光光度計およびガスクロマトグラフによる液体酸素中の不純物分析法
篠原 巧見大草 忠雄岡田 豊
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1961 年 10 巻 3 号 p. 241-245

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抄録

従来液体酸素中の微量不純物の定量分析において,アセチレンはイロスベイ試薬,炭化水素は燃焼法によって分析されてきた.この方法のうち炭化水素分析は分析値を炭素量で表わすのみで各成分については質量分析計などを使用した特別な方法をとらなければわからない.
筆者らは赤外分光光度計とガスクロマトグラフィーとを併用してその分析をおこなった.すなわち,まず試料液体酸素を100mlの三角フラスコに採取し8l/mim以下の流速で蒸発せしめ,あらかじめ液体酸素で冷却した真鍮製トラップ中に通じ不純物を濃縮し,これをガスクロマトにて分析し,さらに各フラクションをガラス製トラップに受けて水銀置換により赤外セルに移して同定をおこなった.また他の一法として液体酸素をそのまま耐圧容器に入れて完全に気化し,これを10m赤外セルに入れておこなう分析法もおこなった.
この結果ガスクロマト法で,炭酸ガス3.5×10-4ppm,亜酸化窒素7×10-4ppm,C4までの炭化水素1.3×10-3~2×10-4ppmを最少検出量とする定量分析をおこなうことができ,また10m赤外セル法によりメタン2ppm,亜酸化窒素0.1ppm,炭酸ガス4ppm,C3以上の炭化水素1ppm,エチルン0.4ppm,アセチレン0.01ppm,四塩化炭素0.01ppb,三塩化エチレン0.01ppb,亜硫酸ガス10ppbの限度まで検出することができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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