窯業協會誌
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Mn-Znフェライト単結晶の破壊靭性
西川 友三岡本 泰則稲垣 茂樹
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1983 年 91 巻 1052 号 p. 149-156

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抄録

Mn-Znフェライト単結晶の主な低指数面 (100), (110) 及び (111) に沿っての破壊靱性をCSF法, IF法によって測定した. CSF法では, ビッカース型ダイヤモンド圧子による破壊開始傷の導入が圧痕近傍のミクロな塑性変形を生じさせることがスリップ・トレースより認められ, この変形部分の研磨による除去が残留応力の除去と対応することが確かめられた. IF法については, 靱性評価のための関係式や試料表面処理の影響についても検討し, 得られた靱性値をCSF法での結果と比較した.
破壊靱性の最も低いのは (110) 破壊であり, その値はCSF法で1.14±0.06, IF法で1.09±0.09MN/m3/2 (表面機械研磨) であった. 化学研磨による表面処理はIF法での値をやや低くした.
(100) 破壊については, 両法ともに所定面のみの破壊を生じさせることができず靱性値は得られなかったが, 破壊の生じ難い面であることが認められた. 低荷重 (≦50gf) のIF法でのみPalmqvist型き裂が得られた.
(111) 破壊については, 本質的に破壊し難い方位でありIF法では破面の所定面よりの “それ” が必ず生じた. CSF法で近似的に得た靱性値は1.40±0.21MN/m3/2であった.

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© The Ceramic Society of Japan
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