2012 年 15 巻 4 号 p. 243-251
網室内での飼養と野外での定期サンプリング調査から,シロスジカタコハナバチLasioglossum(L.) occidens Smithの生活史を明らかにした.本種は年2化性で,基本的に単独性種であった.越冬世代および第1世代の育子活動期はそれぞれ5月上旬〜6月中旬および7月上旬〜8月中旬にあった.網室内で営巣された越冬世代の14巣中1巣が,また第1世代の10巣中1巣が複メス巣であった.両巣とも共存メス数は2頭で,前者は非血縁個体間,後者は血縁個体間による同世代共存であった.共存メス間の卵巣の発達度を比較できなかったため社会型は特定できないが,両巣とも花粉採集に専従する個体が存在したことから,これらの巣の個体間には育子に関する作業分担があることが示唆された.