日本小児放射線学会雑誌
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第57回日本小児放射線学会学術集会“こども達の未来が私たちの未来”より
小児医療センターで行う肝移植医療のミライ―経営母体の異なる隣接二施設による生体肝移植―
井原 欣幸 新村 兼康細川 崇洋田村 恵美前田 翔平川嶋 寛小熊 栄二水田 耕一
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2022 年 38 巻 1 号 p. 2-10

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抄録

小児専門施設では,その沿革や特性から成人の入院,検査,手術に対応することが困難である場合が多く,成人ドナーを必要とする小児生体肝移植では,ハード面とソフト面での「工夫」が必要となる.現在国内において施行されている小児肝移植はそのほとんどが大学病院で行われており,小児専門施設において稼働している施設は当院も含め主に国内に3施設のみである.2019年まで過去50例以上,過去3年間で5例以上施行の小児肝移植を施行している施設は全国で11施設であった.うち9施設が大学病院,残る2施設が当院を含む小児専門病院であった.当施設では2019年9月から埼玉県初となる小児肝移植プログラムを始動したが,ドナーの入院,手術は隣接するさいたま赤十字病院にて行っている.当院の特徴としては血液型不適合移植が多い傾向にあったが,また全国で有数の小児がん登録数を持つ小児がん拠点病院でもあるため,肝芽腫に代表される小児固形腫瘍のほか稀な腫瘍症例に対する肝移植も行ってきた.小児専門施設では専門的で体系的なチーム医療連携は非常に取りやすいが,成人ドナーのマネジメントや連携が課題で問題であった.我々の施設は全国に展開する小児専門病院における肝移植のモデルケースになると考えられた.

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