水利科学
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「後世に伝えるべき治山」60選シリーズ
土岐地区はげ山復旧工事
山田 純司
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2021 年 65 巻 4 号 p. 125-142

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抄録

土岐地区は岐阜県の東濃西部地域に所在し,古くから陶磁器「美濃焼」の産地として栄えている。土岐地区における地質は,陶土化した第三紀層及び深層風化した花崗岩により形成されており,非常に脆弱であるため豪雨による侵食を受けやすいが,燃料用薪炭を確保するための過度な森林伐採,窯業に使用する陶土や釉薬の乱掘により,多くのはげ山(荒廃地)が形成された。 はげ山復旧に向け,大正8年(1919年)から県・市による治山工事が開始され,昭和7年(1932年)から農林水産省の直轄治山事業が始まった。 工事の大半の工程は人力で行い,昭和45年(1970年)1月の工事終了までの間に実行された面積は1,576ha,投入された労力は延べ175万人を超えた。 日本三大荒廃地の1つとまでいわれた土岐のはげ山が,現在は東濃丘陵地帯の豊かな里山風景となっており,一部は「陶史の森」公園として市民の憩いの場となっている。

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© 2021 一般社団法人 日本治山治水協会
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