林業経済研究
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インドネシアの政府主導の植林プログラムにおける農民の選択と成林の可能性 : 中ジャワ州ウォノギリ県の事例
岩永 青史志賀 薫ダマヤンティ エリン・カタリナ増田 美砂
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2009 年 55 巻 2 号 p. 1-9

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抄録

2003年に開始したインドネシアの政府主導の植林プログラムについて,どのような地理的条件の村で,どのような世帯属性の人々がその目的の1つである民有林の創出に貢献しうるのかを明らかにした。人口稠密なジャワ島にあって,植林に適していると考えられた中ジャワ州ウォノギリ県において,立地条件の相違をもとに選んだ3村で,プログラム参加世帯に対する聞き取りを実施した。その結果,総体的に農業条件不利地域をなすウォノギリ県にあっては,州都に近い平地か山地かという村レベルの相違は,植林の実施過程や人々の選択に対する規定的要因とはならないことがわかった。有意な相関は世帯レベルにおける,(1)農外収入の有無と参加動機,および(2)参加動機と苗木の配置に見出された。そして,民有林創出の担い手は,植林すること自体を動機として参加し,実施計画書の示すとおりの方法で苗木を植栽した世帯であることがわかった。この結果から,より効率的に民有林を創出するには,過剰に与えられる動機を削ることによって,植林自体を目的としない世帯を除くべきであるという結論を導き出した。

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© 2009 林業経済学会
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