2015 年 41 巻 p. 85-96
本稿は,インドネシアで災害発生時に様々な主体により自由な形式で設置されるPOSKO に着目し,被災状況の多様性や時間経過とともに生じる変動への順応性を,近年インドネシアで生じた3つの大規模災害事例を通じて,アダプティブ・ガバナンス概念を用いて,POSKO の有効性を検討した。1)POSKO の特性である仮設であるが故の設置簡便さが機能の増減・被災生活の状況への順応・場所選択の自由さを支持する点,2)一定のエリアを管理する形式をとる運営が各エリア内において支援の不均衡の緩和に自主的に対応することが出来る点を抽出し,POSKO が災害時に有効に働くアダプティブ・ガバナンスを伴っている点を明らかにした。