2015 年 41 巻 p. 217-228
本研究では「賃貸併用住宅」の建設状況や市街地の影響,およびオーナー家族の経年変化に伴う住まい方変化から,賃貸併用住宅の利活用と入居者や近隣とのコミュニティの実態を明らかにし,今後の活用の可能性を考察した。東玉川・奥沢地区では集合住宅の40%前後を占め,増加傾向であった。また1993 年調査を踏まえて提案した,オーナー家族が住み続けるための「もう一つの自宅部」は,独身の子どもの独立先や親の死亡後の賃貸として活用され,家族のバッファ空間となっていた。居住歴が長いオーナーの存在は入居者や近隣および街並みへの配慮がみられ,オーナーを介したツリー型のコミュニティが形成され,地域居住のバッファ空間となる可能性を確認した。