住宅総合研究財団研究論文集
Online ISSN : 2423-9887
Print ISSN : 1880-2702
ISSN-L : 1880-2702
広島県旧豊松村の明治期の家屋台帳と民家
家屋台帳に見る民家の諸形態とその変遷
川本 重雄児島 由美子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 33 巻 p. 183-194

詳細
抄録

 広島県神石高原町の豊松村民俗資料館に,明治10年代後半に作成された218軒分の『家屋台帳』が残っている。本研究は,この『家屋台帳』特にそこに収められた間取り図の調査と現存する民家の実測調査を行うことにより,この地域における19世紀後半の民家平面の特徴や時代的変遷過程などを明確にしようとするものである。本報告では旧豊松村の民家が,囲炉裏のあるナカノマを中心に構成される「ナカノマ型」から床の間を持つ主室と次の間で構成される「続き間型」に変化していったこと,この変化が岡山県に接する村の東部から西部へ段階的に広がっていったことなどを明らかにした。また,「ナカノマ型」「続き間型」それぞれに理想型があり,その理想を目標に一般の民家が建てられていたと考えることで,間取り図に見られる民家平面の多様性を理解できることを述べた。

著者関連情報
© 2007 一般財団法人 住総研
前の記事 次の記事
feedback
Top