2005 年 31 巻 p. 137-148
高野山とその周辺地域のうち,天野・志賀・花坂・神谷・久木の5集落を中心に,さらに高野山山内,高野口の2地区を加えて調査対象地とし,集落の特徴と茅葺民家の特徴について,集落の生業や土地利用,建築に関わる技術者や近隣地域との交流関係に着目しつつ検討した。天野,高野山山内,久木では,生物層調査と集落の生業や土地利用との関連から自然環境の特徴を明らかにした。結果,高野山とそれを支える紀ノ川筋という人材交流圏の中で,どの位置に各集落が立地するかによって,近隣地域との交流が成立する。茅葺きはそうした関係の現われて,同様に成立する集落の土地管理の特徴が自然環境を形成する,という集落の景観を捉えることが出来た。