2002 年 28 巻 p. 119-130
本研究は和歌山県橋本市の橋本・古佐田・東家地区を調査対象とし,町家の復原調査と都市構造調査,都市関連の文献調査をもとにして,町家と町並みの変遷について復原的に考察するものである。当地区は近世・近代に交通の要衝となり繁栄したが,残念ながら再開発を目的に土地区画整理事業による建物の解体が続く。復原調査では取り壊しの際に解体を伴う調査をおこない,精度の高い資料を作成した。編年指標は屋根茸材,軒高,二階座敷の有無が特に有効で,これをもとに町家の変遷を考察した。史料調査からは,両側町から塊状の町への変化と,近代での古佐田地区の都市化が判明した。近畿圏の在郷町としての特質とその変遷過程の把握を試みた。