住宅総合研究財団研究年報
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新しい機能を付加した集合住宅用天井構法に関する開発研究
深尾 精一角田 誠
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1994 年 20 巻 p. 349-358

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抄録

 集合住宅の天井はスラブ直仕上げが多く,和室と水回りのみに天井が張られることが多かったが,近年,高度な換気・空調システムを導入した集合住宅が出現し,吊り天井構法が用いられる頻度が高まっている。また,階高にゆとりをもたせ,多様な住空間を生み出そうという動きも見られるようになった。しかし,住宅用の天井に関しては,構法開発がほとんどなされてきておらず,設備との取合い等が明快にシステム化された構法や,高度な機能を備えた天井構法の開発が必要となっている。本研究は,今後求められる集合住宅用吊り天井構法の要求条件を整理し,付加価値の高い天井構法の試設計・試作・検証をすることにより,集合住宅の天井構法のあるべき姿を探ることを目的としている。2章の天井に求められる機能の検討では,天井に付加されうる新しい機能を整理し,天井に組み込まれる設備機器及び天井懐の利用を想定した収納物の形状・寸法の調査を行なった。3章の下地パターンの検討では,天井構法のシステム化を実現するための下地の形状パターンの様々な可能性を検討した。4章は天井構法の試作実験の内容について述べたものである。8畳間大の仮想躯体を,自由な位置から自由な高さに天井下地材を吊ることができるように,木造軸組構法で作成した。試作を行なった天井構法は,格子タイプの下地構造のもの3パターン,ラインタイプのもの1パターン,はしごタイプのもの3パターンである。また,下地の天井パネルの取合いも3形式の試作を行なった。5章の考察では,試作実験結果の概要をまとめている。天井懐を収納等に用いる場合には,天井パネルを正方形に限る必要はなく,ラインタイプ・はしごタイプの下地構成に450×600mmなどの長方形の天井パネルを組み合わせる構法が適用可能であることが確認された。

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© 1994 一般財団法人 住総研
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