住宅総合研究財団研究年報
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高層住宅に居住する高齢者の地域施設利用の構造に関する基礎的研究
高層住宅における高齢者のための住環境計画
谷口 汎邦天野 克也浅沼 由紀
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1994 年 20 巻 p. 219-228

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抄録

 本研究は,迎えつつある高齢化社会における都市住宅と地域施設の複合化計画に資するために,大都市(東京圏)と地方中心都市(長野市)を事例とし,高齢者の生活と関わりの深い医療・保健・福祉・文教施設に注目し,高層住宅に居住する高齢者の施設利用の構造を把握することを目的として行なわれたもので,5つの章から構成されている。第1章では研究の目的,第2章では研究の方法が示されている。第3章では,大都市の高層住宅に居住する高齢者を対象とするアンケート調査に基づき,地域施設の利用構造について,高齢者の属性・生活特性,地域施設の数と内容に対する評価を踏まえて分析がなされ,施設ごとに利用と評価との関係に言及し,さらに地域施設利用には,居住年数,自由時間の過ごし方,家族構成,地域との関わり等の高齢者の生活スタイルが影響していることを明らかにしている。第4章では,地方都市の中心市街地の高層住宅とその周辺の独立住宅地に居住する世帯を対象とするアンケート調査に基づき,中年層との比較のもとに,高齢者の生活特性,地域施設の評価及び認知・利用特性を明らかにしている。第5章では,3章及び4章のまとめを行ない,さらに,大都市と地方都市の比較により,高齢者の属性・生活特性の共通点・相違点,地域施設利用実態からみた利用圏の相違を確認し,さらに,認知率に対する利用率の割合には施設種類により両都市共通にみられる傾向があることを明らかにしている。

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© 1994 一般財団法人 住総研
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