従来の種苗ビジネスにおいては、品種改良による新品種作出、種子生産、種子加工、栽培指導などを同一企業内にもつ垂直統合型ビジネスが多数をしめていた。国内の種苗ビジネスでは、多様な遺伝資源を保有し、高度な交配・栽培技術を持つ企業がシェアを保ってきた。特に、一部の企業においては、品種を海外から購入するなど、他社を活用してビジネスを展開している。しかしながら、近年、種子生産については、その多くが海外で栽培されるようになり、種子加工、苗の生産販売など、異なる企業によるビジネスの多様化が進展している。このように垂直統合型と考えられてきた種苗ビジネスの産業生態系の変容について考察する。