年次大会講演要旨集
Online ISSN : 2432-7131
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2F08 特許・企業情報のミクロ・マクロツール「日本知図」の開発 (2)(〈ホットイシュー〉第5期科学技術基本計画策定に向けた政策分析(2),一般講演)
相馬 亘内藤 祐介藤田 裕二治部 眞里西田 正敏
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p. 685-688

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抄録

「特許・企業情報のミクロ・マクロツール「日本知図」の開発(1)」で説明したように、「日本知図」は検索システムであるので、可視化のみならず、特許件数などの統計解析にも応用できる。そこで、本稿では、シュンペーターが言った「新結合」の観点から、科学技術政策に限定してイノベーションを考えることとする。つまり、単独の知識の延長線上よりも、異なる知識の融合によって、イノベーションが起こる可能性が高い、という立場から議論を進める。また、特許の出願人が、複数の科学技術分野に特許を出願することを分野重複と呼び、それを指数化したものとして分野重複度を定義し、科学技術分野の融合に対する代理変数と見なすことによって、分野融合の現状や時間変化について論じる。分野融合を考える場合、出願特許数を用いて議論することもできる。しかし、その場合は、いくつかの企業が重複分野において大量に特許を申請した場合でも、分野融合が進んでいると見なすことになってしまう。実際、そのような場合でも、特許分野や研究分野という視点に立てば、分野融合が進んでいると考えても良いかもしれない。しかし、「我が国において分野融合が進んでいるかどうか」という視点に立てば、融合分野における出願人数を議論することが適していると考えられる。主に解析の対象とする期間は、5年間(2007年〜2011年)とする。この期間は、第3期科学技術基本計画の時期にあたる。第3期科学技術基本計画は、平成18年度〜平成22年度(2006年度〜2010年度)に実施され、重点推進4分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料)と推進4分野(エネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティア)に重点を置いた。これらはまとめて、重点8分野と呼ばれる(以下では、「ライフサイエンス」に対しては「ライフ」、「ものづくり技術」に対しては「ものづくり」という略称を用いることもある)。そのため、本節の解析では、「日本知図」の分野指定として、重点8分野を選択することにする。また、以下では、分野融合の時間変化も議論するが、その場合は、5年間(2002年〜2006年)の解析結果と比較する。

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© 2014 研究・イノベーション学会
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