法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
犯罪捜査における単独面通しの禁止(<特集>法と心理学の可能性)
田淵 浩二
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2001 年 1 巻 1 号 p. 67-79

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抄録

「法と心理学会」設立準備委員会作成の「捜査段階における犯人識別のためのガイドライン」(案)は、被疑者特定後の目撃者による犯人識別方法として、単独面通しの禁止をかかげる。従来の裁判例をみても、写真面割り後、同一目撃者によって行われた単独面通しに写真面割りの結果から独立した証拠価値を認めなかった事例は少なくない。しかし、写真面割りの結果を確認するための単独面通し自体を否定する立場はとられておらず、捜査実務においても単独面通しに代えてラインアップを原則にしようとする動きもみられない。一方、捜査段階における犯人識別手続の規制で先行するイギリスの場合、最後の手段として単独面通しは禁止されていないものの、パレード(複数面通し)を優先させた運用規程が存在し、実際にも警察はパレード等が実施できなかった場合に単独面通しを行っていないという調査報告がなされている。イギリスにおいて捜査段階の犯人識別手続として単独面通しが行われない理由はなぜか、最近翻訳されたいわゆる「デブリン・レポート」の分析を中心に検討を行った。

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© 2001 法と心理学会
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