2019 年 22 巻 1 号 p. 51-58
目的:認知症が疑われる高齢者に対する地域包括支援センター保健師のコーディネーション行動を明らかにすることである.
方法:地域包括支援センター保健師10人に半構成的面接を行い,認知症状がある高齢者で個別支援の形成から地域づくりのきっかけとなった事例について語ってもらい,コーディネーションに関する部分をデータとして質的記述的に分析した.
結果:1)コーディネーションのはじまりでは【本人と顔なじみになる】などを行い,【認知症状があってもできている生活行為と困難な行為を理解する】などから,2)必要な支援を導き,【必要なサービスにつながるよう念入りに段取りする】などにより,3)サービスやサポートにつないでいた.そして,4)支援チームの形成では【本人の認知状態や生活実態を共通認識した支援チームをつくる】を行い,【相談内容から認知症の共通課題を見いだす】などによって,5)認知症の共通課題を見いだし,【認知症の共通課題を地域住民と共有する】などから,6)認知症が疑われる高齢者個別事例の共通課題を地域づくりに発展させ,【個人の安定と地域における認知症理解の深まりを確かめる】から,7)コーディネーションの効果を確かめていた.
考察:高齢者本人や家族の代弁者となって必要な資源につなげ,関係機関や地域住民の理解と協力の受け皿を開拓し,地域の取り組みになるよう根気よく活動を続け,認知症が受け入れられる地域づくりにつなげることであった.