日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
NICUを退院した脳性まひがある幼児を在宅で育てている母親の育児上のニーズ
―乳幼児期に焦点を当てて―
守村 里美吉田 礼維子針金 佳代子白井 英子
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2017 年 20 巻 1 号 p. 41-50

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抄録

目的:NICUを退院した脳性まひがある幼児を在宅で育てている母親の育児上のニーズを乳児期から明らかにする.

方法:3歳以下の脳性まひ児(超低出生体重児4人・重症新生児仮死2人)を第1子として育てている母親6人に半構成的面接を行い,インタビュー内容を質的記述的に分析した.

結果:脳性まひ児をもつ母親の育児上のニーズは,9つの大カテゴリーで構成された.《ミルクやごはんを十分に食べさせたい》《泣きやませて楽にしてあげたい》《筋緊張を和らげ,安全にお風呂や外出をしたい》は,食や睡眠・安全等の養育に関するニーズで,退院後に中枢神経系の症状が徐々に顕在化することで生じる特徴があった.障害がありながらも,療育施設の効果的なリハビリにより児の発達を実感すると,《子どもの成長のために母親としてできることはする》気持ちへ変化した.児の《成長を実感し,将来の見通しをもちたい》思いは,出生後から現在も続いていた.《家族から,育児の大変さの理解と協力を得られる》《安心して相談や治療が受けられる》医療,他の母親等と子どもの《障害の悩みを共有できる》《子どもや家族の状況に合ったサービスが受けられる》の養育環境に関するニーズがあった.

考察:低出生体重児や重症新生児仮死は,脳性まひのリスクを予測して早期介入と児の成長発達をみながら継続した支援が必要であり,臨床看護職と地域看護職との連携した看護アプローチが求められる.

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© 2017 一般社団法人 日本地域看護学会
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