2008 年 2 巻 p. 27-33
伊豆沼周辺のそれぞれ異なる環境から採集したオオタニシCipangopaludina japonica,マルタニシC. chinensis malleata,ヒメタニシSinotaia quadrata histricaの脂肪酸組成を分析し餌同化内容の解明を試みた.それぞれ生息環境が異なるにもかかわらず脂肪酸組成は同様の傾向を示し,緑藻・藍藻由来,細菌由来の脂肪酸含有率が高かった.このことはそれぞれのタニシが同様の食性を有していることを示している.これら3種のタニシはそれぞれ池沼や溜め池,水田,用水路,河川などを生息地としているが,同一の場所に混棲することは稀である.これは同様の食性を示すために排他的な競争が生じるためであると考えられた.