2019 年 40 巻 p. 54-71
絵本というメディアでは、主人公に男が多いことや男女の描かれかたに違いがあることなど、ジェンダーバイアスが存在することが先行研究により指摘されている。本稿では、これに加えて、登場キャラクターのことばづかいの性差も大きいことを、自称代名詞と文末形式の調査から明らかにした。それは、日本語概説書などでとりあげられる「ことばの男女差」どおりのものである。絵本のジェンダーバイアスはことばにも存在し、絵本はこどもに日本語の〈女ことば/男ことば〉規範を教えるメディアとなっているといえる。