日本精神保健看護学会誌
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地域精神科領域におけるスペシャリスト看護師のリスクアセスメントの実際
吉野 賀寿美
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2002 年 11 巻 1 号 p. 31-42

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抄録

本研究は、日本の地域精神看護領域におけるリスクアセスメントの発達をねらいとし、英国における実践について検討したものである。英国において、リスクアセスメントは地域精神科領域で非常に重要な概念となりつつある。これは、将来起こり得る認知されたリスクの発生率、緊急性、可能性の組織的決定過程であり、精神障害者のQOLを高める上で大切な手段である。それ故、正確なリスクアセスメントの手段を発達させることが求められている。本研究はスペシャリストのリスクアセスメント実践方法とそのアセスメントの信頼性を確保するための方略を明らかにすることを目的とする。英国の7名の地域精神看護スペシャリストにインタビューを行い、6つの主要な領域(情報収集、熟練、導入、コミュニケーション技術、信条、決定)が抽出された。効果的リスクアセスメントを行うために重要なこととして、患者に関する正確な認知を高めるために観察技術を活用すること、またリスクに関する看護師個々の決定能力を発達させるためにreflective practice (実践の熟慮:自らの実践を振り返り、分析、解釈して、その実践からの学びを新しい場面に遭遇した際に反映させるという訓練)を活用することが示唆された。

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© 2002 一般社団法人日本精神保健看護学会
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