2022 年 31 巻 1 号 p. 1-9
本研究は,精神科病棟看護師の65歳未満の長期入院統合失調症患者の退院可能性の判断のための査定内容を明らかにすることを目的とした.
A県内及びB県内にある精神科病院に協力を依頼した結果,3施設の協力が得られ,7名の看護師に半構造化面接を実施した.
語りの内容を分析した結果,意味内容の異なる42のコードと,それらを説明する20のサブカテゴリー,6のカテゴリーが導き出された.看護師は,【服薬行動の安定】【自他への問題行動の改善】【精神症状の落ち着きによる生活の取り戻し】【患者の退院への納得】【家族の精神症状への折り合い】【退院を見据えた家族役割の引き受け】について査定し,患者の退院可能性を判断していた.
結果のうちサブカテゴリーの内容は,退院支援経験が少ない看護師の,退院可能性の判断のための査定を行う際の情報収集のポイントとして貢献できる.