2001 年 57 巻 6 号 p. 389-397
本研究では, 純音レベル弁別を用いた手がかり効果の研究における問題点を指摘し, それを改善した実験を行った。具体的には, 2区間強制選択課題を採用し, 聴覚手がかり音のレベルを試行ごとに変化させた。これにより, 先行研究の問題と考えられる試行間での信号音のレベル比較, 手がかり音と信号音のレベル比較を行いにくくした。2実験の結果, 周波数不確定性による弁別成績の低下が見られたが, 手がかり音による弁別成績の向上は見られなかった。この結果から, 周波数不確定条件での成績の低下が試行間のレベル比較によるという考えは否定され, 聴覚手がかりによる成績の向上は手がかり音と信号音のレベル比較の影響を受けると示唆された。