2001 年 57 巻 4 号 p. 272-281
音源からの音響放射に指向性があるときの,防音壁の遮音効果について検討した。音源としての大きさが無視できる指向性音源が地面近傍に位置するときには,音源を中心としたエッジまでの距離の同心円上における,受音点方向とエッジ方向の地点での音圧レベル差により,指向性による遮音量の増減値が近似されることを示し,挿入損失の算出方法を提案した。また,建造物などの大きさを無視できない指向性音源に対しては,指向性による影響を簡易に評価することは困難であったが,建物内部を拡散音場と仮定し,外部音場に対しては建物外壁の透通音を音源として境界要素法を適用する計算モデルにより,挿入損失が精度良く計算されることを示した。