日本音響学会誌
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ゼラチンのゲル化による超音波音速・吸収変化
山本 晃央崔 博坤
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1997 年 53 巻 3 号 p. 179-184

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抄録

ゼラチンのゾル,ゲル状態の超音波音速・吸収を温度15〜40℃, 0.2〜3MHzの周波数範囲で測定した。測定法にはプラノ・コンケーブ共鳴法を用いた。温度依存性の結果から, ゲル化により音速はわずかに減少すること, 吸収は増大することが分かった。吸収スペクトルの測定結果はゾル, ゲル状態とも緩和が存在することを示し, それらは分布した緩和時間で表された。ゲル化すると緩和の分布幅は広がった。ゲル化による音速の減少は, 分子のランダムコイル-へリックス転移に伴う水和水の減少で説明された。また, 吸収増加は, 水和水-自由水の交換反応による緩和時間の変化によるものと推察された。

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© 1997 一般社団法人 日本音響学会
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