日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
近距離音場での非線形吸収効果を考慮したパラメトリック差音の簡易計算法
馬場 秀和渡辺 好章ト部 泰正
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1993 年 50 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

送波器の半径が音波の波長に比べて大きい場合、パラメトリック差音は主としてレーリー長内の近距離音場内で生成される。従って差音の特性を求めるには1次波となる有限振幅音波の近距離音場内での空間各点の音圧を非線形吸収効果を含めて正確に求める必要がある。しかしながら多数の空間各点の音圧をそれぞれ数値積分で得ようとすると長大な計算時間が必要となり、そのため差音の計算時間も長くなる。そこで本報告では近距離音場を積分が可能である関数にて近似することによって、十分な精度でかつ高速に求めることを試みる。更に1次基本波成分の空間各点の音圧を非線形吸収の影響も考慮して求め、非線形吸収効果によって現れる1次波から差音への変換効率の低下や指向特性の広がり、サイドローブの上昇等の差音の特性を求めている。またこの中で、パラメトリック差音の変換利得を差音音圧に影響を与える因子を明確にした表現式で定義している。最後に本手法による計算結果と実験結果とを比較し、本手法の有効性を確認する。

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© 1993 一般社団法人 日本音響学会
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