1993 年 49 巻 5 号 p. 328-333
室内のインパルス応答を数値計算によって求める一つの方法として、有限要素法(FEM)を適用する方法について検討した。この方法では、まず音源から受音点に至る周波数応答関数をFEMによって計算し、それを逆フーリエ変換によってインパルス応答に変換する。計算アルゴリズムは、重みつき残差法に基づいたFEMを3次元音場に適用することによって作成した。特にこの計算法では、点音源及び境界条件の取扱い方を検討した。この方法の応用例として、単純な直方体室内のインパルス応答を計算し、模型実験による測定結果と比較した。その結果、両者はよく対応し、この方法が室のインパルス応答の計算に適用できることが示された。