企業の健康保険組合の訪問相談事業から,制度化されたサービスシステムのジレンマにおける心理的側面に質的・量的研究手法で接近することを試み,また訪問健康相談において看護職が高齢者の個別性の理解を深め,自由な感情表現による共存のできる相談技術を身につけるためのツール開発にむけた基礎的研究を行った.その結果,(1)高齢者の心理特性のクラスターを探求するために,35問からなるふれ愛アンケートが作成された.(2)訪問健康相談対象者557名の質問紙の結果から,数量化III類により,エネルギーの消費,自己の表出,時の流れに対する執着の3因子が抽出された.(3)クラスター分析により,活発タイプ,沈思黙考タイプ,外交タイプ,和タイプ,そして,孤高タイプの5つが抽出された.高齢者の心理特性別に老いとケアの現象-の理解を深め,高齢者と共存する訪問看護のツールとして開発する必要性が示唆された.